和食の食事は、料理だけでなく、その配膳や食器の配置にも美意識が込められています。和食の配膳マナーを理解し、正しく食器を配置することで、より一層料理の味わいや雰囲気を楽しみましょう。
和食の基本的な配置ルール
和食の場合、食器の配置には一定のルールがあります。お茶碗は左側に、汁物は右側に配置します。また、箸置きは左側に置き、持ち手側は右側になるようにします。主菜は汁物の上に、ボリュームのある副菜はお茶碗の上に、軽めの副菜はそれらの間に配置します。これらの配置は、食器を取りやすくし、食事を楽しむ上でのリスクを軽減します。
和食のテーブルセッティングにおいて重要なのは、一汁三菜を置く位置を把握することです。一汁三菜とは、ご飯、汁物、漬物に3種類のおかずを合わせた、和食の基本献立です。主食、漬物、汁物の順に手前に配置し、主菜、副菜、副副菜の順番で奥に配置します。
主菜と副菜を区別する際は、主菜には魚・肉・卵・大豆料理などを、副菜には野菜・きのこ・いも類・海藻料理などを配置します。しかし、献立によってはこの区分が曖昧になることもあります。その場合は、全体のバランスやおかずの量を考慮して臨機応変に配置しましょう。
魚が主菜の場合、食器の配置だけでなく、魚の向きにも注意が必要です。丸魚の場合は頭を左に、腹を手前に向けて配置します。切り身の場合は皮がよく見える方を上にし、皮が奥に、身の厚い部分が左になるように配置します。開きの場合は頭が左に、身が表面になるように配置します。
箸は一番手前に、持ち手を右にした状態で置き、お茶は右奥に、デザートは左奥に置きます。左利きの場合は箸の持ち手を左にする程度に配慮しますが、食器の配置を逆にすると仏壇のお供物の置き方になるため、注意が必要です。
季節に合わせた和食のテーブルコーディネート
和食のテーブルセッティングは、季節の移り変わりや色彩を取り入れることで、より一層美しく華やかに演出することができます。
テーマ・色を絞り込む
季節や色合いなど、テーマを明確にすることで、テーブルコーディネートをしやすくなります。初心者の場合は、テーマカラーを1色に絞り込むとバランスが取りやすくなります。
主役の器を決める
テーブルセッティングの際には、主役となる食器を1つ決めます。その食器を際立たせるために、他の食器は主役よりも小さくしたり、色を統一したりすることで、メリハリのある食卓を演出できます。
高低差をつける
テーブルに高低差をつけることで、立体感のある空間を作ることができます。花瓶や小鉢、グラスなどを使って高さに変化をつけると、より一層豊かな雰囲気を楽しむことができます。また、料理の盛り付けにおいても高さを意識することで、見た目の美しさを引き立てます。
季節の花で彩りをプラス
料理だけではなく、植物を使ってテーブルに彩りを加えることもおすすめです。季節の花やグリーンを使って華やかさを演出することで、さらに美味しさを引き立てることができます。
余白を大切に
和のテーブルコーディネートでは、余白を大切にすることが重要です。無理に小物や器を置かずに、空間に余白を持たせることで、すっきりとした美しさを楽しむことができます。和の美意識を感じさせるテーブルを演出するために、余白の美を大切にしましょう。
和食のテーブルセッティングは、基本のスタイルさえ覚えてしまえば、日常のさまざまなシーンで役立ちます。ただし、地域によって配膳方法が異なる場合があるため、基本を押さえた上で、状況に合わせた配膳を心がけましょう。食器の配置やテーブルセッティングは、和食の魅力を引き立てる重要な要素です。